Up | 「ワクチンは変異株にも効く」は何を指しているか | 作成: 2022-02-11 更新: 2022-02-12 |
ひとは,「3回目接種はオミクロン株にも効く」のことばをそのまま受け取る。 そして3回目接種会場へ向かう。 ひとは,「このことばは,どういう内容のことを言っているのか?」という疑問をもたない。 この疑問をもたないのは,このような疑問の形があることを知らないためである。 「3回目接種はオミクロン株にも効く」を唱える者は,「効果=中和抗体価」の意味でこのことばを使っている: 「中和抗体価 neutralizing antibody titre」は,つぎのように計算されるものである:
この「定義」からわかるように,「中和抗体価」は独立した数ではなく,他の検体で同じことをしたときの値と,比較するものである。 即ち,「Aの中和抗体価は Bの中和抗体価の○倍」のように言う。 特に,この「○倍」は,ひとが思い浮かべる量の「○倍」とは全然違うものである。 しかも,この「中和抗体価」にはトリックがある。 検体の血清中の抗体は,《すべてがワクチンによってつくられたもの》とはならないからである。 ひとは,オミクロン株に被曝している。 そして,体本来の免疫反応として,オミクロン株に対する抗体をつくっている。 この抗体が,中和抗体価を引き上げることになるのである。 しかしひとは,このことを知らない。 そこで,つぎのような報道を見ると「すごい!」になってしまう:
「3回目接種はオミクロン株にも効く」を唱える者たちは,そしてこれの受け売りをするマスコミは,なぜこのような騙しを臆面も無く行えるのか? これも彼らの生業 (商売) のうちだからである。 統計で騙そうとする者は,「倍」を使って値を大きく見せることを常套手法にしている。 先週木曜は給料日の直前で,財布に 10円しか残っていなかった。 今日の財布には 1万円入っている。 この前後の比較に,「所持金が 1000倍になった」と表現する者は,「倍」のことばの使い方を知らない阿呆である。 統計で騙そうとする者は,これと同じことをする。 彼らは,「倍」表現を悪用する煽動者である。 NHK は,これの最も悪質な部類である。 変異株の流行開始期に「先週木曜の新規感染者数の ‥‥ 倍」の言い方で,ひとの恐怖を煽り,己のイデオロギーに世論を誘導しようとする。 |