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Darwin (1881), pp.62-67
(Darwin が観察したミミズは,オウシュウツリミミズ Lumbricus terrestris)
ミミズが葉などをつかむのは、食物にするためだけでなく、巣穴の入口をふさぐためにもする。
これは、ミミズにとってはとても強い本能なのだ。
巣穴のふたにするのは葉だけではない。
さまざまな葉柄や花柄のほか、枯れ枝、紙きれ、羽毛、ウールの繊維、ウマの毛などを用いることも多い。
クレマチスの葉柄が、一つの巣穴の入口から17個、別の巣穴からは10個も突き出ているのを見たことがある。
‥‥‥
落ち葉がたくさんあるときには、使用できる以上の数の葉が巣穴の上に集められていることもある。
その結果、未使用の葉が、巣穴に一部引きずり込まれた葉の上を屋根のように覆うことになる。
筒状の巣穴に葉を引きずり込むとなれば、葉は折り畳まれるかクシヤクシヤになるに決まっている。
さらに別の葉を引きずり込むときには、前の葉の上に重ねていくことになる。
そして最終的には、すべての葉は折り重ねられてぎゅっと押し付けられる。
場合によっては巣穴の入口を広げたり、近くに新しい入口を作って、
さらにたくさんの葉を引きずり込むこともある。
ミミズはたいてい、引っ張り込んだ葉と葉の隙間を、体内から排池したねばねばの土で埋めている。
そうすることで、巣穴の入口はしっかりとふたをされる。
そういうふうにしてふたをされた巣穴が、あちこちから何百となく見つかる。
秋と初冬には特に多い。‥‥‥
巣穴を塞ぐための葉や葉柄、枝などが手に入らない場合、ミミズは小石を積み上げることで巣穴を守る。
丸い小石を積み上げたそのような小山は、砂利道でよく見かける。‥‥‥
このような作業が行なわれるのは、通常は夜間である。
しかし、日中に巣穴に物が引きずり込まれるのを見たこともある。
巣穴の入口を葉などで覆ったり、小石を積み上げることで、どのような利益があるのかは謎である。
巣穴から大量の土を排泄しているときには、そのようなことはしない。
糞そのものが、入口を覆うことになるからだ。
‥‥‥
その動機がどうあれ、ミミズは巣穴の入口を開けっ放しにしておくのが大嫌いなようだ。
それでも夜になると入口を開ける。
後でまた閉じられるかどうかは関係ない。
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- 引用/参考文献
- Darwin, Charles : The Formation of Vegetable Mould Through the Action of Worms, 1881
- William Clowes And Sons, London, 1881
- 渡辺政隆[訳]『ミミズによる腐植土の形成』, 光文社, 2020.
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