|
Darwin (1881), pp.40-42
(Darwin が観察したミミズは,オウシュウツリミミズ Lumbricus terrestris)
ミミズは雑食性である。
大量の土を飲み込み、その中から消化できるものを摂取している。‥‥‥
そのほか、まずいものや硬すぎるものは別にして、あらゆる種類の腐りかけの葉を大量に食べているほかに、茎や腐った花なども食べている。
ただし、何度も行なった実験で確認しているように、新鮮な葉も食べる。
モレンによれば、砂糖や甘草エキスのかけらも食べる。
‥‥‥
生肉やローストした肉のかけらを長いピンでポットの土に刺しておく実験を何度か繰り返した。
するとミミズは、夜ごと現れては肉の角をくわえて引っぱるのが観察され、肉のかなりの部分が食べられた。
生の脂肪は、生肉など与えたどんなものよりも好きなようで、その多くが食べられた。
共食いもする。
ミミズの死体を半分に切って二つのポットに入れておいたところ、巣穴に引きずり込まれてかじられていたのだ。
とはいえ、私の見るところ、腐った肉よりは新鮮な肉のほうが好きなようだ。
その点では,ホフマイスターとは意見が異なる。
|
|
|
同上, pp.40-47
[消化管外消化]
ミミズは、食物にする腐りかけの葉や新鮮な葉を、巣穴の入口から1〜3インチほど引きずり込み、口から吐いた液体で湿らせる。
‥‥‥
葉を湿らせる分泌液はアルカリ性であることと、澱粉粒と細胞質の内容物に作用することから、その成分は唾液ではなく謄液に類似していると推測できる。‥‥‥
巣穴に引きずり込まれた葉は、乾燥してしわしわになっていることが多い。
そのため、歯をもたないミミズがそれを分解するためには、まず最初に湿らせて柔らかくすることが必須である。
新鮮な葉が、たとえどんえに柔らかくて水分に富んでいようとも、ミミズは同じ処理をする。
おそらく習性なのだろう。
その結果として、葉は、ミミズの消化管に取り込まれる前にすでに一部消化されている。 ‥‥‥
いちばん近い例としては、モウセンゴケやハエトリグサといった食虫植物かもしれない。
食虫植物では、胃の中ではなく、葉の表面上で動物が消化されてベプトンに分解されるからだ。
|
|
|
『生きている土壌』, p.127
ミミズは食べた土の中の無機物を栄養にしているのではない。
土の中に含まれる有機物が食べ物である。
生きた植物や生きた根を食べ物にすることはない。
朽ちたもの、腐ったものを食べるのである。
腐りかけたタマネギ、ミカン、ポレー、いろいろの果物の屑、コーヒーの出し殻などは特に好まれる。
しかし、ミミズは土中の腐った有機物だけから栄養をとっているのではなく、何でも食べると考えてよい。
土と一緒に有機物の中から常に動物性、植物性の小生物を生きた状態のままで摂取している。
とりわけ細菌、藻類、菌糸、菌の胞子などである。
|
|
したがって,ミミズは耕耘・無機肥料の耕地にはいないことになる。
- 引用/参考文献
- Darwin, Charles : The Formation of Vegetable Mould Through the Action of Worms, 1881
- William Clowes And Sons, London, 1881
- 渡辺政隆[訳]『ミミズによる腐植土の形成』, 光文社, 2020.
- Erhard Hennig : Geheimnisse der fruchtbaren Böden。
Organischer-Landbau Verlag Kurt Walter Lau, 1994.
中村英司[訳]『生きている土壌』, 日本有機農業研究会, 2009.
|