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「穴もたず (穴なし) 熊」
作成: 2022-12-07
更新: 2022-12-07
阿部泰三『熊百訓』, p.56
冬ごもりのl前に十分食べず脂肪層を貯え得ずそのまゝ冬眠に入る熊は 十分のガソリンをもたずに太平洋横断iに飛びだつ飛行機に等しい。 それは墜落死だけがまっている。
動物は本能としてそれを知っている。 それで必死の覚悟でやって来て 何でも食べる。
降雪後は人間と家畜以外には食べるものはなくなってくる。 そこで何をするかわからない。 丁度年の暮に万引をするルンペンのようなものだ。
引用文献
阿部泰三『熊百訓』, 山音文学会, 1963.