Up | 木を擬人化する者は,何をわかっていないか | 作成: 2023-06-14 更新: 2023-06-14 |
よって,木を擬人化する物語には,我が意を得たりとばかりに,飛びつく。 そこで,木の擬人化で業績をつくろうとする研究者が現れる。 ひとにアピールすること受け合いだからである。 実際,メディアがすぐさま取り上げてくれる。 木の擬人化は,間違いである。 木を擬人化する者は,何がわかっていないので,この間違いをするのか。 それは,植物と動物の違いである。 動物は,他の生物と何が違うのか。 即ち,何を以て他の生物とは違うとするのか。 それは,指揮命令系統の存在である。 指揮命令系統は,つぎの事で成る: 動物は,細胞集団が中央を形成する場合である。 これに対し,木 (植物) は,細胞集団が中央を形成しない場合である。 木の細胞は,それぞれが周囲に反応して自己再組織化を為す。 これが,全体として「木」を現す。 木は,アダム・スミスが「神の見えざる手」と称した経済と同じである。 「個それぞれが周囲に反応して自己再組織化を為す」が実現する全体秩序の形態は,物理学の謂う「波動」である。 木は,細胞間の連動がつくる波である。 木は,細胞集団の波であるから,感じないし,考えないし,話さない。 木の声を聞こうとして幹に耳をあてても,無駄である。 何かの音が聞こえてくるかも知れぬが,それは木の声ではない。 細胞集団の波動に伴って生ずる音である。 つぎと同じ:
川の音は,川の声ではない。 「川は感じる・考える,話す」と思うのを,アニミズムと謂う。 現代人は,科学教育により,このアニミズムを脱していることになっている。 しかしそうではないことを,ひとの木に対する認識──「木は感じる・考える,話す」──が示しているのである。 |