3.15.2 志向性(命題的態度)


     ここで,合理主義的オリエンテーションに従い,認知を志向性(命題的態度)と同一視する。

     志向性は,一般に,命題(陳述文)pと志向語Iに対する記号列I(p) で表わされる──但し,

    “pということ(事態)をI”

    と読む。

     ここでは,pを,行為語aに対する

    “わたしはa者である”

    という形の命題に限定し,

    I(わたしはa者である)

    をI(a) と略記する。このときI(a) の読みである

    “(わたしはa者である)ということをI”

    は,結局

    “aことをI”

    である。

    例: 行為語“歌う”と志向語“好む”から,志向性

    “(わたしは歌う者である)ということを好む"

    ──通常の言い回しでは,

    “歌うことを好む”