4.2.1 数学的問題解決論のジレンマ
数学的問題解決論は,最初から無理なスタンスを余儀なくされている。即ち,認知科学内問題解決論が,問題解決機制論として,
問題に対して
ストラティジーを論ずるというスタンスをとっている
(註)
のに対し,数学的問題解決論=問題解決能力形成論は,問題フリーでストラティジーを扱わねばならない。
さらに,問題解決機制論は coherence theory として自立するものであるが,数学的問題解決論はこの問題解決機制論の枠組みをそのまま継承しながら,しかも correspondence theory
であろうとしている。
(註) Newell, Simon の GPS (General Problem Solver) にしても,文字通り“GPS”というわけではなく,
与えられた
ゴールに到達する道筋を求める問題──しかも,高度にフォーマティングされた問題──を解くようになっている。