5.1 問題解決機制論の暗黙的破棄
“問題解決能力”とストラティジ−を同一視するという発想は,問題解決機制論と矛盾する(§4.2.2)。しかし,合理主義的(特に表象主義的)オリエンテーション下では,これの対案は考えられない。実際,表象を巡る因果的図式は,どれも似たり寄ったりのものになる。
したがって,問題解決能力形成論を展開しようとするためには,“矛盾を見ない”ことにしなければならない。ここに,認知科学内問題解決論の中心的論考であった問題解決機制論が,閑却(暗黙に破棄)されることになる。