6.1 経験的アプローチ


     問題解決能力形成の実践論は,〈ストラティジー=手続き的内的表象〉形成の実践論ということになる(§5)。指導論としては,ストラティジー指導論になる。

     しかし,問題解決能力形成の機制論が空白であることにより,この実践論(指導論)は,経験的アプローチによってつくられる他ない。確かに,“能力形成”を目的とする実践の特徴づけは,“ストラティジーの形成”ということで明確になっている。しかし,ストラティジー形成の方法については,ここまでの理論は何の示唆もできない(註)

     この点に関しての問題解決論者の認識を,ここではつぎのようなもの──トップダウンの考え方──であるとする:
      《問題解決能力形成実践論の実践の中から問題解決能力形成機制論に属する知見の得られることが,期待される》


    (註) Can problem solving be taught ? .... If problem solving can be “taught", what type of experiences must enhance the development of this ability ?
    (Lester,1978,p.59)