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8.3 メディアとしての教師



 伝統的に,学校教育は教師が子どもに教えるという形で考えられてきた。この形態の問題点は,メディアとしての教師の質のばらつきが,学習者の利害に直結するということである。教科書とか指導書の意義のうちには,これを緩衝するということがある。

 さらに,「生身の人間」である教師に良質な教育メディアであることを求めることには,もともと無理がある。教師は学びつつ,そしてしばしば誤って理解しつつ,子どもに教える。そしてこれ以外にあり得ない。

 教師の本意ではないかも知れないが,教科教育に関しては,教師の「学習コオーディネータ」化が進行するであろう。メディア革命としての現在進行中の流通革命は,消費材と消費者の直結を実現しようとする。この流通革命が学校にも及ぶ。学習者は,「教師」という仲介(フィルター)を経ずに,直接学習材にアクセスできるようになる──そのようなシステムが形成されていく。

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