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2.1.4 カテゴリカルな公理系
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われわれは自然数
を,色々あるものとしてではなく,ただ一つのものとして意識している。したがって,ペアノの公理による“自然数の定義”が真に自然数の定義になっているためには,それによって自然数が一意に定まるのでなければならない。
ここで“ただ一つ”とは,“同型の意味でただ一つ”ということである。
自然数の系の同型は,つぎのように定義する。即ち,ペアノの公理を満たす二つの系(
,1,f)と(
,1,f)が同型であるとは,
と
の間の1対1対応h:
─→
で条件:
1°
h(1) = 1
2°
つぎの図式は可換:
を満たすものが存在すること
(註)
)。そして実際,このようなhは存在する──かつ
h(f
n
(1)) = f
n
(1)
で定義されるものに限る。
一般に,ある公理系で定義されるところのものが“同型の意味で一つだけ”であるとき,その公理系は“カテゴリカル”であると言われる。ペアノの公理系は,カテゴリカルな公理系の一つの例になっている。
(註) “コピーh:(
,1,f)─→(
,1,f)”の概念の定式化は,このようになる。