“問題解決機制論”の発想は,問題解決一般の法則定立的説明を試みようという発想であり,それは合理主義的発想である。
この発想が(自然なものというよりは,むしろ)独特なものであることは,例えば,つぎの“家族的類似性”の発想(Wittgenstein)と対比することでも明らかになる:
“問題解決”のカテゴリーの根拠は,家族的類似性であるという他はない;“問題解決”と呼ばれる事態に共通なもの──即ち,“問題解決の本質”──を求めようとすればするほど,われわれはますます僅かのことしか言えないようになる;恐らく,最後には何も言えなくなる。
“問題解決機制論”の発想の特殊性をこのような形で一先ず認識した上で,以下,問題解決機制論の分析を試みる。
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