ライルは,“心”を行動の傾向性と解釈する。このとき,“心と行動の因果関係”は“行動の傾向性と行動の因果関係”ということになる。そしてそれは,“傾向性”──〈事態−行動〉の連関(註1)──を,“行動の原因”として,行動と同じオーダーの事態として捉えるということである。これはカテゴリー錯誤である(註2)。 “心”を行動の傾向性と解釈して,心理主義をカテゴリー錯誤として阻却するライルの立場は,論理的行動主義と呼ばれる。 (註1) “もし状況が・・・・ならば・・・・のような行動が発現する”という形の文(仮言命題)で表現されるところのもの。 (註2) ライルはこのカテゴリー錯誤を,つぎのように喩えてみせる:
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