国際化時代の大学教育
─ 強い・甲斐性のある人材の育成 ─


(北海道青陵会会報「道青陵71号」)
作成: 2002-11-30
修正: 2002-12-12


 国際化時代の本格化で、大学教育も従来型に安住していてはいられません。いま・これから求められる教育は、ひと言で言うと、強い・甲斐性のある人材の育成でしょう。今後世の中がどうひっくり返ろうと、当事者としてちゃんとやっていける、そんな人間の育成が課題です。
 国際化時代ですから、あたりまえのこととして、英語からは逃げられません。また、今日言う「国際化」は情報化にともなうグローバル化と一体ですから、情報リテラシーがひ弱なのもダメです。(だいいち、今日外国とのコミュニケーションは、文書にしても画像にしてもインターネットです。電話もじきインターネット電話になります。)したがって、英語と情報の能力を徹底的に鍛えることを、大学教育の中に据えなければなりません。
 岩見沢校の学生の潜在能力は、かなり高いものがあります。ところが、本人たちはこれを自覚していない。そこで、彼らに自分の潜在能力に気づかさせ、自信、向上心およびチャレンジ精神を強くもたせることが、わたしたち大学教官の重要な責務ということになります。
 潜在能力を顕在化するには、教育は「きつい」必要があります。実際、人間の脳や身体は横着にできていて、「死ぬ目」に遭うところまで行ってやっと自分の組織改造に向かうようになるという感じです。また、「きつい」と学生は「いや」になるかというと、それは違います。学習や仕事というのは、本格化・本物化してはじめておもしろくなり達成感へと変わるものです。
 こんなわけで、わたしのゼミ生 (数学教育) に対しては、「国際化時代」を意識したいろいろな「きつい課題」をこなしてもらっています。もっとも、この方法は、最近になってやっと形になってきました。何がこの間変わったかというと、情報関連の環境です。これの充実によって、やりたいことがやっと最近できるようになりました。
 うちのゼミでの「修行」項目は、企画、実行、達成 (結果のアウトプット)、情報コンテンツの制作と発信、プレゼンテーション、英語です。実際、これらは国際化時代に生きるための力です。
 これらが総合されるようにする課題の一つとして、例えば、「外国からの来訪者に対する英語プレゼンテーション」を課すというのがあります。本校には、調査研究の目的で外国から教育研究者の訪れることがよくありますが、この機会を使わせてもらいます。学生は、英語でディジタルプレゼンテーションを行います。コンテンツは、ホームページベースで作成します。コンテンツ作成では、コンピュータ・グラフィックスやディジタルビデオ編集を行います。ゴールが日時・相手・目的を要素に定まっており、そして下手なことはできませんから、学生はつねに責任 (プレッシャー) を感じながら向上心をもって仕事を進めることになります。
 ちなみに、最近の学生は、「結果は二の次、がんばったことがだいじ」に慣らされ、自らを甘やかす傾向があります。しかし、社会に出れば結果がすべて。「がんばんなくていいから、結果出せよ」の世界です。したがって、学生時代のうちに結果に対し責務を伴う仕事の経験を積ませることは、「強い・甲斐性のある人材の育成」ではひじょうに重要です。


ミャンマーから教育視察で来日の教育研究者 (ピュ先生とウィン先生) に,全ゼミ生が英語でプレゼンテーション




(左:ピュ先生,右:ウィン先生)