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はじめに
作成: 2004-01-14
修正: 2004-01-15
国立教員養成系大学・学部のリストラの状況の中で,教員養成系大学・学部の競争力が問われてきている。そしてこの課題への対応として目下顕著なのが,カリキュラム,地域連携,学生サービス等において特色をもたせようとする取り組みである──コアカリキュラム,キャップ制,オフィスアワー,就職指導,カウンセリング,社会人入学,大学公開講座,市民1日大学,講義の市民開放,各種センターの強化・新設,等々。
これらにいろいろと取り組んでいくこと自体はよいことだが,教員養成系大学・学部の本道/正道との比較計量がきちんとなされていないとか,コスト-パフォーマンス比がきちんと計算されていないといった体でこれが進められるときは,非常に問題となる。
現在進行の国立教員養成系大学・学部のリストラは,「高コスト体質」のリストラという形で進められているものだ。したがって,「資源投入の重点化」が本当の課題であり,これまでやったことのない新しいことにいろいろ手をつけるというのは,本来のやり方ではない。また,社会的評価も,そのようなことで上がったりはしない。
教員養成系大学・学部の競争力の根幹は,「教員養成の水準の高さ」である。そしてそれは,学生の成長で測られる。 そこで,競争力強化の課題の中心は,通常の教育の「品質の管理・向上」にある。「資源投入の重点化」のターゲットは,先ずここでなければならない。一方,「新しいいろいろなことへの取り組み」は,「余力の配分」という枠の中で考えるものになる。
「品質の管理・向上」はそれ自体漠然とした課題であり,実践のためにはこの課題への実際的アプローチ(課題の実際化)を定めなければならない。本論文では,わたしのこれまでの実践にもとづき,教員養成課程教科教育コースにおける「情報デザイン能力の育成」をこのようなものの一つとして提案する。