\( V \) を,体k上のn次元線型空間とする。
\( V \) の基底 \( \{ {\bf e}_1, \,\ \cdots\, {\bf e}_n \} \) に対し,つぎのように定義した \( {\bf e}^1, \,\ \cdots\, {\bf e}^n \in V^* \) の組 \( \{ {\bf e}^1, \,\ \cdots\, {\bf e}^n \} \) は, \( V^* \) の基底になる:
\[ {\bf e}^i ( {\bf e}_j ) \,=\, \delta_{ij} \]
これを,\( \{ {\bf e}_1, \,\ \cdots\, {\bf e}_n \} \) の双対基底と呼ぶ。
例
\( V \) の基底変換:
\[ \{ {\bf e}_1 \,\cdots\, {\bf e}_n \} \longrightarrow \{ {{\bf e}^{'}}_1 \,\cdots\, {{\bf e}^{'}}_n \} \]
は,一つの線型写像 \( : V \rightarrow V \) である。
この基底変換の表現行列 \( (\, {a^j}_i \,) \) に対し,各行を行ベクトルと見る:
\[ {\bf e}^i = ( {a^1}_i\, \cdots\, {a^n}_i ) \]
\( {\bf e}^i \) は,写像
\[
\left(
\begin{array}{c}
x^1 \\
\vdots \\
x^n \\
\end{array}
\right)
\in V
\,\longmapsto\,
( {a^1}_i\, \cdots \, {a^n}_i )
\left(
\begin{array}{c}
x^1 \\
\vdots \\
x^n \\
\end{array}
\right)
= {a^1}_i x^1 + \cdots + {a^n}_i x^n
\in k
\]
として, \( V \) の汎関数,即ち \( V^* \) の元になる。
さらに,\( \{ {\bf e}^1 \,\cdots\, {\bf e}^n \} \) は, \( \{ {\bf e}_1 \,\cdots\, {\bf e}_n \} \) の双対基底になっている。
実際,\( {\bf x} \in V \) に対し \( e^i ( {\bf x} ) \) は,基底 \( \{ {{\bf e}^{'}}_1 \,\cdots\, {{\bf e}^{'}}_n \} \) に対する \( {\bf x} \) の i-成分。
\( {\bf e}^i ( {\bf e}_j ) \) は,\( {\bf e}^i ( {\bf e}_j ) = {{\bf e}^{'}}_j \) であるから,基底 \( \{ {{\bf e}^{'}}_1 \,\cdots\, {{\bf e}^{'}}_n \} \) に対する \( {{\bf e}^{'}}_j \) の i-成分。──それは \( \delta_{ij} \) 。
|