学習者が悩む「テンソルと行列の違い」は,正しくはつぎの主題である:
先ず,「行列」は,「行列計算」を文脈にするものである。
「行列」の格好をしていても,計算しないものは「行列」ではない。
行配列・列配列は,1行行列・1列行列として計算にのせるとき,「行列」である。
「行列」は,平方構造である。
平方構造に対しては,立方構造を考えることができる。
立方構造は,これを「3次元」構造ととらえることで,任意次元に拡張できる──図には描けないが。
「行列」をこのように次元拡張したものを,「超行列」と呼んでおく。
以上の留保のもとに,ベクトルの「行列」は,つぎのものである:
- 線型空間 \( V \) の基底を構成するベクトルを,配列したもの :
\( ( {\bf e}_1, \cdots, {\bf e}_n ) \)
- 基底 \( ( {\bf e}_i ) \) に対するベクトル \( {\bf x} \in V \) の座標を,配列したもの:
\( ( x^1, \cdots, x^n ) \)
- 2つの線型空間 \( U,\, V\) それぞれの基底を固定したときの,線型写像 \( f : U \to V \) の表現行列:
\[
\left(
\begin{array}{ccc}
a^1_1 & \cdots & a^1_n \\
& \cdots & \\
a^m_1 & \cdots & a^m_n \\
\end{array}
\right)
\]
- 線型空間 \( V \) の基底変換行列
- 基底変換行列に対する「座標変換行列」の読み換え
そして,テンソルの「行列」は,つぎのものである:
- テンソル積 \( V_1 \otimes \cdots, \otimes V_n \) の各 \(V_i\) に伴う「行列」 (上述の「行列」)
- \( V_1 \otimes \cdots, \otimes V_n \) の基底 \( ( {\bf v}_1 \otimes \cdots \otimes {\bf v}_n ) \) を配列したもの (超行列)
- この基底に対する \( {\bf x} \in V_1 \otimes \cdots, \otimes V_n \) の座標を配列したもの (超行列)
- 2つのテンソル積それぞれの基底を固定したときの,両テンソル積間の線型写像の表現超行列
- テンソル積の基底変換超行列
- 基底変換超行列に対する「座標変換超行列」の読み換え
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