Up | 物理法則 → テンソル方程式 | 作成: 2018-01-25 更新: 2018-02-24 |
ここで<存在>は,「表現以前」を意味する。 <存在>の法則は,いろいろに表現しても,その指しているところは同じである。 「表現に依存しない」は,「表現の変換に対して不変」と言い換えられる。 いま,物理法則がベクトルの式に写されているとしよう。 このとき,物理法則の「表現に依存しない」「表現の変換に対して不変」は,ベクトルの式の「表現に依存しない」「表現の変換に対して不変」に引き継がれる。 ベクトルの式の場合の「表現に依存しない」「表現の変換に対して不変」は,「座標に依存しない」「座標変換に対して不変」である。 物理法則をテンソルに写している場合は,ベクトルでは役不足であり,かつテンソルだと間に合うという場合である。 では,「テンソルで間に合っている」は,どうしてわかるのか。 このとき,「座標変換に対して不変」が,逆用される。 即ち,「座標変換に対して不変」を,「間に合っている」の規準 criteria にするのである。 ある種の物理学のテクストは,頻繁に「座標変換に対して不変」が出てくる。 それは,「法則として立てることが妥当」を「テンソルに写すことができる」に代え,「テンソルに写すことができる」を「座標に対して不変」に代えているということである。 物理法則をテンソルに写すとき,その写した形は「テンソル方程式」である。 その「テンソル方程式」が基底と座標で表現される前の形であれば,「座標変換に対して不変」のチェックは無用である。 基底と座標に表現した形で提示するときは,「座標変換に対して不変」のチェックが必要である。 この仕組みがわかってくると,物理学で法則を立てようとするときは,はじめからテンソル方程式の形式を目指すことになる。 作業は,テンソルの積み上げである。 テンソルの積み上げで成ったものは,それ自体テンソルである。 そして積み上げの或る段階で「= 0」にして,「テンソル方程式」が成る。 |