単位決定が恣意的であるといっても,それは理屈の上でのことであり,妥当な単位決定というものが生活的/身体的条件からある程度決まってきます。
実際,量測定(=表現づくり)および量把握(=表現の受容)は,どのような単位をとるかで,容易になったり困難になったりします。
例えば量把握の場合,「単位いくつ」の表現の受容のしやすさ・しにくさは,単位と「いくつ」の両方の把握のしやすさ・しにくさの総合です。
大きな量や微小な量では,単位の把握のしやすさと「いくつ」の把握のしやすさが,矛盾するようになります。
実際,「いくつ」を桁数の少ない数にするためには,「手に余る/手からもれる」単位を導入しなくてはなりません。
また,量測定では,単位の手頃さと測定の労力が,しばしば矛盾する関係(トレード・オフの関係)になって現われます。