English
単位の組合せによる量表現
- 単位を用いた量表現の一つの自然な帰結は,「複数の単位を組合せて表現する」です。
- この表現を生み出すもとになる動機として,二つが考えられます:
- 測定値となる数の桁数を少なくする
- はしたを大事にする:小さい単位を適宜導入して,はしたを切り捨てないようにする
ある単位で「単位いくつ」を求めて余りが出れば,この余りに対し,いまの単位より小さい別の単位で「単位いくつ」を求める;この手続きを繰り返す──結果として出てくるのは,複数の単位の組合せによる量表現です。
- 組合せ的な表現では,「一意的な表現」が問題になってきます。
「バケツ3杯とコップ8杯とスプーン12杯」は,ひとによっては「バケツ 2 杯とコップ 52 杯とスプーン 76 杯」になります。
- 「一意的な表現」は,表現の中での単位の順番を決めても解決されません。
表現を一意にするためには,つぎの規則を導入します:
- 与えられている単位のうち,測定値の桁数を最も小さくするものをとり,これで「単位いくつ」と表現する;
- このときの余りを,再び,測定値の桁数を最も小さくする単位によって「単位いくつ」と表現する;
- 以下この手続きを繰り返す.
- この結果「バケツ3杯とコップ8杯とスプーン12杯」の表現が得られたとすると,それはだれがやっても同じく得られるものです。
- この手続きに依ったときの量の一意的な組合せ表現のことを,言い回しの簡単のために,以下単に「一意的組合せ表現」と呼ぶことにしましょう。
- 一意的組合せ表現は,単位数え上げの回数が最も少なくなる測定の仕方と対応しています。したがって,単位数え上げの回数だけが量測定の効率の規準になるような場合には,一意的組合せ表現に直接到達することを目指して測定することになります。
- 組合せ表現が一意的組合せ表現へと進むことは必至です。
量表現の主要な目的の一つに量比較があります。そしてこれができるためには,組合せ表現は一意的でなければなりません。