Up 分数の場合 作成: 2007-05-03
更新: 2007-05-04


    分数の求積公式は,正負の数や複素数の場合と比べてずっと複雑です。 したがってこのテキストでは,これを正負の数,複素数の後にもってきました。


    さて,数の積は,倍の合成として定められます。 そこで分数の場合,つぎのようになります (図の中の倍は,長方形のタテの長さに関する倍):


    この関係が成り立つようにするには,分数の積をどのように定めたらよいでしょう?
    先ずは,「3/2 × 5/4」が表す分数を求めてみます。

    1. 分数 3/2, 4/3 の意味により,下図の条件を満たす量 u, v がとれる。


    2. u の3 倍とv の4 倍が同じであることから,下図の条件を満たす量 w がとれる。


    3. a は w の (4 × 2) 倍,c は w の (3 × 5) 倍。
      すなわち,a と c は,w によって (4 × 2):(3 × 5) の比になっている。


    4. よって,a に対する c の比は, (3 × 5)/(4 × 2)。



    この例から類推して,求積の公式がつぎのようになることがわかります:

    通分
    量wは,「u,vに共通の分割を求める」という方針で求めています。
    wを得て,このwから 比 3/2 : a→b,5/4 : b→c を見るとき,2つの比はそれぞれ (4×3)/(4×2),(3×5)/(3×4) になっています。
    特に,(3/2)×(5/4) は,(4×3)/(4×2)×(3×5)/(3×4) になります。
    これは何を意味しているでしょう?
    「u,vに共割を求める」は,「3/2 の分子と,5/4 の分母を通分する」に対応しているということです。
    つまり,つぎの形をつくっているわけです:
    この形の積の場合,求積公式はつぎのようになります──これが,分数の積の基本形(分数の和における「同分母分数の和」に対応するもの) ということになります:
    以下が,この求積公式の理由です: