10.3.6 立式形式の選択
与えられた条件から所期の量を求める形式は,単一ではない。与えられた条件に対し複数の解釈が可能である。
例として,“1
l
(リットル)が
pkgの液体q
l
の重さ”という問題がどのような形で解かれ得るかを見ていこう。但し,量の系としての容積および重さを,それぞれ ((Q
1
,+),(
+,+,×),
×
),((Q
2
,+),(
+,+,×),
×
) とする。
(1) [和]
これはq∈
の場合において適用される。このときq
l
は
l
のq回の累加であり,そして
l
のq回の累加にはpkgのq回の累加が併行している。よって,q
l
の重さは,pkgのq回の累加になる。(以降は,=(kg
×
p)+・・・・+(kg
×
p)=kg
×
(p+・・・・+p) の計算。)
(2) [倍]
q
l
は
l
のq倍であり,
l
のq倍にはpkgのq倍が併行している。よって,q
l
の重さはpkgのq倍になる。(以降は,=(kg
×
p)
×
q=kg
×
(p×q)の計算。)
(3) [比例関数]
問題の液体について,それの容積と重さが比例関係にあるということの認識から出発する。そしてこの関係を比例関数 f:Q
1
─→Q
2
へと読み直すとき,q
l
の重さである f(q
l
)は,=f(
l
×
q)=f(
l
)
×
q=pkg
×
q.
(4) [複比例関数]
先ず,比例関数:Q
1
─→Q
2
の全体 Hom(Q
1
,Q
2
)をQとするとき,量の系 ((Q,+),(
+,+,×),
×
) が得られ,そして関数
t:Q×Q
1
─→ Q
2
;
(f,x)
f(x)
が複比例関数であることを,押さえておく。また,問題の液体についてそれの容積と重さとの対応が比例関数になるということを認めておく。
さて,液体q
l
の重さは,f(
l
)=pkgである比例関数f∈Hom(Q
1
,Q
2
)=Q(すなわち,f=pkg/
l
) に対するf(q
l
) で求められる。ところで,fはu(
l
)=kgである比例関数u(すなわち,u=kg/
l
)に対しf=u
×
p。そこで
l
あたりpkgの液体q
l
の重さが,
f(q
l
)=t(pkg/
l
,q
l
)
=t(kg/
l
×
p,
l
×
q)
=t(kg/
l
,
l
)
×
(p×q)
=kg
×
(p×q)
のように計算される。
なお,(3),(4) が結局は重さの倍 ── 一つの量の倍 ── という形へもっていくための手続きであることに,注意しておこう。