0.3 数量一元論の阻却
“数量一元論”には,“数え主義”とか“のつきの分数”へのアンチテーゼという歴史があります。しかし,本論考で関接的に示されるように,“数量一元論”は没理論であり,理論的には“数え主義”ないし“のつきの分数”の立場が正しい。
“数量一元論”に即く指導は,数使用のノウハウの指導になります。実際,“数量一元論”は数を量の抽象と捉える立場ですが,抽象は個々に恣意であり,個々に恣意なるものの受容はノウハウの受容の他ありません。
現行の数指導に対しわたしがとろうとする立場は,
現行の数指導を《“この程度しか望めない”という認識からノウハウの指導にやむなく即いている》ものと定めた上で,“この程度しか望めない”を問題視する
というものです。“数量一元論”的な発想から現行の指導をノウハウの指導とは認識していない立場──あるとすれば──は,わたしにとっては論外のものになります。