5.6.1 実数から複素数への拡張
実数から複素数への拡張は,体上の2次元の多元体(二元体)の導出である(註)。のこの導出は,をそれ自身の上の1次元多元体として相対化する。
“〈数の系〉の資格”の主題に関しては,複素数に言及することは“順序構造が定義されている数の系”を相対化する──“順序構造は〈数の系〉の絶対条件ではない”──意義をもつ。
(註) 複素数の導入の解釈に,“代数拡大”がある。(そしてこの場合,はの代数閉体として意義づけられる──“代数学の基本定理"。)しかし,この形での複素数の主題化は,学習者に複素数を“まったく都合的なもの”──“虚(嘘)の数”──と見させてしまうおそれがある。