Up 「リーマン多様体」の思想を知る 作成: 2018-03-10
更新: 2018-03-10


    井の中の蛙は,「井」を知ることができるか。
    これは,「井の中の蛙は,己をわかることができるか」という問題でもある。

    己をわかろうとする者は,思想に向かう。
    実際,己をわかろうとする思考タイプの括りが,「思想」である。
    そして,自分を「井の中の蛙」に見立てる者は,「井」を知ろうとする思想──方法論──に惹かれることになる。


    井の中の蛙が「井」を知る方法論は,「手探り」──空間を内から手探りする──である。
    これしか無いという意味で,これが方法論である。

    数学でこの方法論を明示的に主題化しているものに,「リーマン多様体」がある。
    これは,「手探り」の数学である。


    「手探り」とは,<記憶>に留めながら「手探り」の点をシフトしていく作業である。
    そして,空間を構造化しようとするこの作業は,空間を「多様体」に構造化していることになる。

    しかもこれは,点ごとに<記憶>を設けるタイプの多様体。
    これが,「リーマン多様体」である。
    こうして,井の中の蛙は,「リーマン多様体」を自らの必修科目に定めることになる。