Up 「ごまかす」と「わかりやすく」の区別 作成: 2013-10-20
更新: 2013-10-20


    「1次関数」は,もしこれが「y=ax+b のグラフ」の話ならば,簡単なものである。 既習になっている「y=axのグラフ」を「y軸方向にbだけ平行移動」,で済んでしまう。
    しかし,「1次関数」の数学は,既に見てきたように,簡単ではない。
    まともに対すれば,中学数学のレベルをたちまち超えてしまう。
    よって,「1次関数」が中学数学の内容になっているということは,これの数学を巧く回避して──即ち,ごまかした内容で──授業しているということである。

    「ごまかして教える」を意識できることは,「1次関数」の数学の理解のたまものである。
    よって,この数学を捉えていない教員は,「ごまかして教える」を意識して授業しているわけではない。
    単純に,「わかりやすく教える」のつもりで授業しているわけである。

    「ごまかして教える」の意識がなくて「わかりやすく教える」のつもりでつくられる授業は,内容が没論理になる。
    没論理の内容は,生徒の受容するものにならない。
    受容する生徒がいるが,それはテキトーをやれているということである。
    テキトーをやれない生徒は,受容できない。

    わかりやすく教えているつもりの教員は,テキトーな生徒を「できる生徒」と称して重宝する。
    テキトーをやれない生徒を「できない生徒」と称して,今日だと「グループでの話し合い」を使って,授業を済ませる。

    翻って,「1次関数」の授業は,教員の数学の力量・授業の力量を示すよい試験紙になる。
    研究授業に打って出てチャレンジしてみたいという教員には,「1次関数」は格好のテーマである。