Up 論証のない論争──<言い合い>に終始 作成: 2012-01-06
更新: 2012-01-07


    「かけ算の順序」論争は,論の可否を判定する規準をもたないふうになっている。 したがって,変なことを言って恥をかく・怪我をするということがない。
    実際,「論争」とはいいながら,実態は「言い合い」である。 かみ合わないことを互いに言い合う。
    水掛け論をやるわけなので,これは延々と続けていられる。

    数学は,水掛け論を退ける方法論をつくった。 「推論・論証」である。
    「かけ算の順序」の問題は,数学の中で決着がつく。 その決着のつけ方は,推論・論証である。
    「かけ算の順序」論争は,論者が数学の中に入っていこうとしない。 よって,これは延々と続けていられる。

    論者が数学の中に入っていこうとしないのは,ひとつに,「かけ算の順序」の数学があることを知らないためである。
    この数学は,「代数学」の「加群 (module)」の章で見ることができる。 しかしこの題目は,専門数学の課程に入らなければ,出会わないものである。
    そして,「かけ算の順序」の数学があることを知ったからといって,それがわかるというわけではない。 わかるためには,修行しなければならない。

    こういうわけで,「かけ算の順序」論争が数学に関わらないふうになっていることについては,単純には批判できない。