Up 一刀両断──<匿名>の人間心理 作成: 2011-09-17
更新: 2011-09-17


    「かけ算の順序」論争での発言には,一刀両断タイプがいちばん多い。 そしてこのうちでもいちばん多いのが,「アタマがわるい」で切り捨てるタイプである。

    「かけ算の順序」は,一刀両断できる内容ではない。 「かけ算の順序」は数学の内容であり,数学にもとづいてこれが議論できるためには,少なくとも大学の教養課程程度の「代数学」を修めている必要がある。 (『「数の理解」15講』

    一刀両断できない内容の議論で「アタマがわるい」の一刀両断をやれば,「アタマがわるいのはどっちだ」を返されることになる。 しかし,ネットワークでは,自分の正体を見せずにものを言うことができる。

    一刀両断については,これを「質(たち)の悪いもの」と見ることが肝要である。
    一刀両断は,自分の同調者をつくる手法として,手軽でありながらひじょうに有効なものになる。 すなわち,費用対効果比が高い。
    どうしてこうなるかというと,一刀両断は,本来,アタマがよくないとできないことだからである。 そこでひとは,一刀両断する者を賢い者と思い,これにかんたんに同調してしまうのである。

    実際,一刀両断は,テロリズムの常套である。