Up 「数とは?」の指導 (全5時間)  


正負の数を学習し終えた時点で,生徒は「自然数」「分数」「正負の数」の3つの数を学習しています。 しかし,「自然数」「分数」「正負の数」を「3つの数」とするところの「数」については,それが何かは答えられません。
実際,「数とは?」の問いに答えられるようにする指導は,ここまでにありません。

「数とは?」の問いには,数の<意義>と<形>を答えることになります。
数の<意義>は「2量の比の表現に使う」です。
数の<形>としては,和と積の形を答えることになります。

そこで,「数とは?」の指導を行うとすれば,それは例えばつぎのようなものになります:

主題 授業内容
1 数は2量の比を表すのに使う 包丁にはいろいろな形のものがある
理由:食材に応じて都合のよい包丁を使う
数は2量の比を表す道具
数にはいろいろな種類がある
理由:扱う量に応じて都合のよい数を使う
扱う量の普遍 (universal) イメージ
 自然数の場合:丸
 分数の場合:線分
 正負の数の場合:正逆2方向の矢線
2 数の和 記号「+」の使い方 (数の和の形)
数の和の形から既習の求和計算法が導かれること
正負の数の場合
(余裕に応じて,自然数の場合,分数の場合)
3 数の積 記号「×」の使い方 (数の積の形)
数の積の形から既習の求積計算法が導かれること
正負の数の場合
(余裕に応じて,自然数の場合,分数の場合)
4 ここまでのまとめと練習 数は2量の比を表す道具
扱う量に応じて都合のよい数を使う
数の和──記号「+」の使い方(数の和の形)
数の積──記号「×」の使い方(数の積の形)
5 複素数
(数概念の応用練習として)
平面上の矢線を量と考える
この量の比の表現(回転と倍)
これが複素数
複素数の積を求める計算法を導く
数素数の和を求める方法はここで扱わない」と伝える