Up 「教育的ソルーション」 作成: 2013-11-25
更新: 2014-03-24


    「比例」の数学に準ずる「比例」指導 (§2,3) は,「比例」の現行指導内容の指導 (§3.3) と比較して,教員にとって難度の高いものになる。
    「教育的ソルーションは?」と問われれば,現行指導内容の方に傾きたくもなる。

    では,難度の低い方がソルーションか?

    例えば,量表現は,メジャーを使えば済む。 そもそも,日常生活では,量には最初から単位がついている。 「任意単位」をやることは,「量の比」という数学をやるためであり,この数学を考えるのでなければ要らないことである。
    長方形の面積は,「単位を敷き詰めたときの個数」から起こすことを要らないとしたら,「長さ×長さ=面積」でよいことになる。
    「速さ」の問題は,「時間の○倍に距離の○倍が対応」から起こすことを要らないとしたら,「距離÷時間=速さ」(「はじき」) でよいとなる。
    そして,「比例」は,つぎの数学を要らないとしたら,最初から「y=ax」でやればよいとなる:
      《単位がつく以前の「量の比例関係」なるものを考え,
       つぎに,「単位固定による数値対応の導出」を考え,
       そして比例関係の表現数として「比例定数」を導入する》


    「ソルーション」の考え方は「均衡」である。
    「均衡」とは,いろいろな動きの均衡であって,一律になって静止していることではない。
    この「いろいろな動き」の中に,「算数科をどこまで数学にするか」の動きを含めることになる。
    そうでなければ,「数学疎遠・数学無視──数学知らず」の学校数学に,数学は無くなる。
    「比例」でいうと,自分が算数科をつくるとしたら「比例」を指導しなければならないと思うのか,という動きである。

    もともと,数学にする・しないに,是非はない
    この場合,算数科をどこまで数学にしそしてしないのかという問題に対する,個々の考え方があるのみである。
    算数科は個の相互作用の力学場であり,その都度の均衡相が算数科のソルーションである。
    そして,算数科のソルーションの現れたものが「現行」というわけである。