Up おわりに  


    数学であれば「数は量の比」となるところを,学校数学は「数は量の抽象」にしている。
    「数は量の抽象」は,数学ではない。 学校数学の「数・量」の領域は,数学でない状態が続いてきた。
    本論考は,この問題を取り上げた。

    しかし,数学は「数は量の比」であるといっても,学校現場では「数は量の抽象」がすっかり定着している。 これを揺るがすことは,ほとんど絶望的に難しく見える。
    すなわち,部分的アプローチが立てられない。 抜本的な変更の話になる。 そして,アウトプットに関して連続性を重視する学校教育に,<抜本的変更>話は馴染まない。

    「割合論争」のときが,いわゆる「そのとき歴史が動いた」であったかも知れない。
    和田義信の「数は量の比」対遠山啓の「数は量の抽象」の構図の論争の後,学校数学に入っていったのは「数は量の抽象」の方であった。 ──数学の視点からは,このような解釈になる。


    本論考は,つぎの論考へと続く:

      学校数学は「数は量の比」へ軌道修正できるか?
      1. 「数は量の比」を択ったときの指導内容は?
      2. 学校数学が「数は量の比」になる可能性は?