Up 量計算の数学が知られないままに  


    「タテ×ヨコ=面積」「速さ=距離÷時間」は,「×・÷」の記号の故意の誤用である。 教師がこれを承知し,「嘘も方便」としてこれを教えているのなら,問題はない。 問題は,教師がこれを「嘘」と思っていない場合である。
    そして,この問題は現実的なものである。

    学校数学は,「数は量の抽象」を長くやってきた。 「数は量の抽象」で教えられた生徒が教員になり,その教員が「数は量の抽象」を教える。 これが繰り返されていまは,量の問題を解くのが数学であるということ,その数学の形は「問題の論理的還元」であるということも,知られなくなっている。

    実際,「問題の論理的還元」は,これを意識して学習する経験がもたれていなければ,意識にのぼらない。
    教員が「問題の論理的還元」を意識的に学習する経験をもつとすれば,それは,大学の学校教員養成コースにおいてである。
    しかし,「問題の論理的還元」は,明示的に学習主題として学生に課した場合でも,学習成果ははかばかしくない。 したがって,これが暗黙的な主題にとどまっているか,あるいはあまり/ほとんど触れられない場合は,「問題の論理的還元」を知らない教員が学校教員養成コースからアウトプットされることになる。