「分数のかけ算・わり算」の立式・計算を「ペンキ塗り」型で説明する方式は,つぎの構成になる:
- 「ペンキ塗り」の文章題を用い,塀に見立てた長方形の分割操作 (<長方形をタテ・ヨコ2方向に切る>) によって,この文章題を解く。
- この中で,「かけ算・わり算」の式とこの式の計算を現していく。
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このとき,「分数のわり算」の導入に用いる比例関係の文章題は,つぎの2つのタイプのうち,「比の第3用法」適用タイプの方になる:
「比の第1用法」適用タイプ |
「比の第3用法」適用タイプ |
塀にペンキを塗る。
1 dL で 2/3 m2 塗れると,
何 dL で 3/4 m2 か?
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塀にペンキを塗る。
1 dL で 何 m2 塗れたら,
2/3 dL で 3/4 m2 塗れるか?
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「比の第1用法」適用タイプは,<長方形をタテ・ヨコ2方向に切る>の操作では解けないからである。
2タイプの文章題の扱いは,そこでつぎのようになる:
- 「分数のわり算」の導入では,「比の第3用法」タイプの文章題を用いる。
- 「比の第1用法」適用タイプの文章題は,「形式不易の原理」で立式させ,割り算の公式で計算させる。
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さて,こうして「立式・計算」を済ませると,後は《「形式不易の原理」で立式させ,割り算の公式で計算させる》を「分数のかけ算・わり算」の文章題の解き方にする。
ペンキ塗りの文章題の解法を以て分数のかけ算・わり算の公式を説明することは,《一つの特殊を以て全てを説明したことにする》の騙しをやっていることになる。
翻って,「ペンキ塗り」型は,教育的方便としてこの騙しをよしとしているわけである。
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