- 授業はつねに "Simple is the best." ですが,新しい主題の導入の授業は特に,学習者の精神的負担を考えて,シンプルにするよう心掛けましょう。
- 論理的に構成することが,シンプルに通じます。
- 以下は,授業を論理的に構成した場合です。
敢えて論理的順序に背く授業もあり得ますが,それは主題の論理を熟知した上ではじめてできる芸当です。
未熟な間は,授業を論理的に構成することをしっかり修行してください。
- <導入>(既習事項の押さえ)
──以下が,この場合の既習事項になります:
- 2乗 (自乗) の計算ができる
- 負数の2乗 (自乗) が正数になることを理解できる
- 「平方根」のことばとその意味の導入
- "2乗してnになる数を,「nの平方根」と言う。"
- 押さえ:
- 簡単な例で,「平方根」のことばを使う練習
- 理解を強化する意味で,つぎのことに発展するのは可:
- 負数の平方根は存在しない──その理由
- 0の平方根は0自身
- 記号「√」の導入
- 主題の転換:
"「nの平方根」という言い回しを,記号を使って簡単に表す。"
- 表現の問題点の確認:
- 解決方法:
- "さしあたり正の方を表現しよう。"
- "「nの平方根のうち正の方」を「√n」と表す。"
- "このように定めるとき,「nの平方根のうち負の方」は「−√n」となる。"
- 簡単な例で,記号「√」を使う練習
- いろいろな数の平方根を考える/調べる(「平方根の探求」)
- 「平方根」のことばと記号「√」が確実に生徒のカラダに入ったところで,「平方根の探求」の学習局面に入っていきます。
── 逆に,「平方根」のことばと記号「√」が生徒に定着していないまま「平方根の探求」に進むのは,不可。
- 「平方根」「√」の定着のためには,ていねいな授業が必要です。
(一般に,単純な言い回し・記号でも,最初に出会うときは容易にカラダに入りません。)
したがって,同じ一つの授業時間に,「平方根」「√」の導入と「平方根の探求」の両方を行うのは,通常は無理です。──無難に,2つに分けてください。
- 「√(ー4)」のような表現をどのようにとらえたらよいか,の指導
- "書いたら間違い,というのではない。"
- "「√(ー4)」と表される数は存在しない,ということ。"
- 「√0」をどのようにとらえたらよいか,の指導
- "0 の平方根は 0 自身で,正負2数にはならない。そこで,√0 は 0 を表すと約束する。"
- √2 のような,小数展開が無限になる平方根の例
- 授業設計上の注意/留意点
- この学習主題は単純です。
生徒に難しく思わせないよう,軽快な授業展開を実現してください。
- 上の II, III では便宜上「nの平方根」「√n」のような一般表現を使っていますが,授業で<文字を使った一般表現>を登場させてよいのは,具体的な数による定着が十分進んだ段階になってからです。
早い段階に<文字を使った一般表現>を使って,生徒を辟易させてはいけません。
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