Up 「指導」: 服従要求 → 攪乱 作成: 2017-09-02
更新: 2017-09-02


    数学教育学者を,世間は数学教育の専門家と見なす。
    彼らと対するときは,ポーズであれ,数学教育の専門家として遇する。
    時には,数学教育の専門家として実質的に用いようとする。
    即ち,助言・指導を求める。

    数学教育学者が「指導」をパフォーマンスし,受け手が「指導」内容を行動しようとするとき,この動きは数学教育──系としての数学教育──の一定部分の攪乱になる。
    攪乱は,いろいろな要素が積み重なって,かなり広範囲に及ぶこともある。
    「数学的○○」( ○○:"考え方","問題解決能力","リテラシー" ) のムーブメントは,このような場合である。


    「指導」の攪乱は,<服従要求>が起こす攪乱である。
    服従要求は,人をつぎの二様の混乱状態に置く:
      1. 服従するか・しないか
      2. 服従では,何をやったらよいのか
    実際,服従要求に対し生ずるものは,この混乱の伝播である。
    この混乱の伝播が,「攪乱」の内容である。

    「数学的○○」の場合,混乱の伝播は授業者まで及ぶ。
    数学教育にとってこの場合の最良のシナリオは,混乱が生徒との関係では「空回り」になることである。
    しかし実際は,授業者の珍奇な授業によって,生徒まで混乱に付き合う羽目になる。