Up 分析と帰納 作成: 2017-08-28
更新: 2017-08-28


    科学の方法は,分析と帰納である。

    分析は,現前を複雑と定め,<複雑 → 単純>の変換をすることである。
    分析の方法は,「解体」である。

    帰納はこれの逆で,<単純 → 複雑>の変換をする。
    《どんな単純を定めたら,現前(複雑) が再現されるか》という形で,現前を理解しようとするのである。
    帰納の方法は,「シミュレーション」である。

    分析と帰納は,相補的である。
    そこで,これの一方を主張する構えは,イデオロギー (「主義」) になる。
    要素還元主義は,分析を世界理解の方法にする主義である。
    帰納を方法にしている「複雑系の科学」は,帰納一辺倒になれば主義になる。

    数学教育学はこれまで,要素還元主義でやってきている。
    ただし,表象主義の要素還元主義である。
    一方,数学教育は複雑系である。
    数学教育学のいちばんの弱さは,数学教育の「複雑」を主題化できていないことである。