- 測定──量を「単位×数」の形に表現する実践──について,「量を単位で測る」という言い方を普通に用いています。しかし,測ろうとする量も,単位も,あくまでも読み(ことば)であり,実在しているのは,
- 〈測ろうとする量〉が読まれているところのモノ(事態)と,
- 〈単位〉がそこに読まれるところのモノ(事態)
です。
例えば,つぎのような具合です:
- 測ろうとする量が読まれているモノ=液体
- 単位 dl がそこに読まれるモノ= dl計量カップ
- 実際,測定は量の操作ではなく,あくまでもモノに対する操作です。そして,モノに対する或る一連の操作が「単位いくつ/単位の何倍」と読まれる,ということです。
- すなわち,
- 単位の現象である〈個〉があり,
- 「〈個〉の集合」という形でこれから読まれようとする測定対象Xがあり,そして
- Xにおいて〈個〉が数えられる。
“測る”──Xに読まれた量xを,〈個〉に読まれた量uを単位として測る──とは,このようなことです。全てが読みであり,量といったものはどこにもありません。
- 操作に対するこの読み(解釈)は,実践であり,量の論理(数学)の外にあります。
この実践に対して「論理」ということばを強いて使うならば,それは経験の論理です。しかし,あくまでもそれは擬似論理です。読み(解釈)は実践であり,保証をもたない〈賭け〉です。