「比例関係」を,
「一方が2倍, 3倍, ‥‥ になるとき,もう一方も2倍, 3倍, ‥‥ になる」
で定義しました。
では,自然数倍ではなく分数 n/m 倍の場合はどうなるのでしょう。
実は,定義より,
「一方が n/m 倍になるとき,もう一方も n/m になる」
が導かれます。
以下,このことを示します。
先ず,「n/m」の意味から,つぎの関係を満たす量 c がとれます:
「比例関係」の定義より,m倍にはm倍が対応します:
このとき,c' が a' と b' をm:nに共約している図が得られています!
よって,分数倍の定義より,a' と b' の比は n/m:
これで,n/m 倍には n/m 倍が対応することが示されました。
註 : |
比例関係で分数倍には同じ分数倍が対応することがわかりました。では,
このことからさらに,実数倍には同じ実数倍が対応するでしょうか?
答えはYes ですが,証明は専門的内容になります。
以下,その概略です。
つぎのようであるとします:
そして,r, s に収束する有理数列 {rn }, {sn } をそれぞれ一つとります。
「量の系は加法を伴う数と同型」ですので,{a ×rn } は a ×r = b に収束します。さらに,「分数倍には分数倍が対応する」を使って,{a'× rn} が b' に収束することが導かれます。
一方,{a' × sn} も b' に収束します。そして{a' × rn} と{a' × sn} の極限が同じということからは, {rn }, {sn } の極限が同じであることが導かれます。すなわち,r = s です。
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