複素数の表記 (2タイプ)
複素数は,「倍して回転」の作用です。そこで複素数の表記は,「r倍してθ回転」であれば (r, θ)と表記するのが,直接的でわかりやすいでしょう。
ただし, (r, θ) を数の組にするために,θを
単位ラジアン
に対する数値と定めます:
さらに,(r, θ) の別表記を考えます。
もとのベクトル u の +90゜回転になるベクトルをvとします。
このとき,r, θに対してつぎの関係を満たす x, y が決まります──逆に,2数 x, y に対しては,この関係を満たす r, θ が決まります:
たとえば,r = 2, θ=π/3 には,x = 1, y = √3 が対応します:
実際,(r, θ) と (x, y) は,つぎの関係によって,一方から他方が求まります:
(*)
x = r cosθ, y = r sinθ
r = ( x
2
+ y
2
)
1/2
, θ = tan
-1
(y/x)
そこで,(r, θ) と表現した複素数は, (x, y) でも表現できます。──実際に使っている表記は,x + y i です。
「x + y i」の表記を導入する理由は,計算にあります。
すなわち,(r, θ) の表記は,加法に不向きです。一方,x + y i の表記は,加法に適しています。また,乗法には向いていませんが,計算公式は立ちます。(
算法
)
「絶対値」「偏角」の用語の意味も確認しておきましょう。──複素数z=(r, θ)に対し,
r を z の絶対値と呼び,|z| で表す。
θを z の偏角 (argument) と呼び,arg(z) で表す。
特に,z=x + yi に対し,以下が成り立ちます (先の (*) の言い換え):
x = |z| cos(arg(z)), y = |z| sin(arg(z))
|z| = ( x
2
+ y
2
)
1/2
, arg(z) = tan
-1
(y/x)