「数とは何か?」への答えは,数の定義を示すというふうにはならない。
すなわち,数の意味を《自然数 → 分数 → ‥‥ → 複素数 → 四元数 → 八元数 → 十六進数》のように追っていくとき,そこには意味のシフトや複線化があり,全体に通底する形式として数の定義になるようなものが残らなくなる。
一方,「数とは何か?」の問いが「数と量の関係は?」であるときは,「数は量の比」が答えである。
八元数・十六進数で「数は量の比」からの逸脱が起こるが,この逸脱は「量をもてない」という逸脱である。そして量をもたない数について「数と量の関係は?」を問うのは無意味である。
「数と量の関係は?」の問いは,「数と量の関係をいま見ているところのその数と量の関係は?」である。
そしてこれへの答えは,「数は量の比」である。
本テクストは,「数は量の比」の総論である。
「数は量の比」は,総論と各論を合わせることで理解されるものになる。
《自然数 → 分数 → ‥‥ → 複素数 → 四元数》の中のそれぞれの数で「数は量の比」を見ていくのが,各論である。
この各論は,以下のテクストにある:
註 : |
数 (N, +, x) が導く量の普遍対象 ((N,+), ×, (N,+,×)) の話は,さらに位の普遍対象 (N,+, ((N,+), ×, (N,+,×))) の話に進む。
本テクストは,「位」の主題を取り上げなかった。
「数」の意味を考えることは,「数」の条件規定に関わるものとして「量」を考えることになる。
しかし「位」は,「数の条件規定に関わるものを考える上で,量の上にさらにこれを考える必要がある」というものにはならないからである。
「位」については,『いろいろな数が「数」であること』の「位表現」の章,あるいは『量計算の論理』の「位」の章にあたられたい。
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