11.4.3 n進数と単位セット
単位セットは,その間に位上がりの規則が立ち,かつその位上がりの規則が自然数のn進構造にのるようなものになっていると,扱いやすい。したがって,逆に,このような位上がり規則をもつことが,単位セットが現実的であるための条件ということになる。
実際,このときには,単位の組合せによる量表現と《基本単位の小数倍》の形の表現が密接なものになり,相互の直接的な読み換えが可能になる。また,基本単位の取り替えに応ずる表現変更も,表現の数の位をズラして読むという方法で行なえる(註)。量計算もこのときには小数計算にのることになり,飛躍的にやり易くなる。
(註) 例えば,長さの単位セット{km,m,cm,mm,μ}は,自然数の十進構造に埋め込まれる位上がり規則になっているが,このことによって“20500m(単位mが20500)",“20.5km",“単位100mが205”のような表現の間の読み換えが直接行なえることになる。──時間の単位セットの{日,時,分,秒}では,こうはいかない。