写像とは,絵の写像のことです。
キャンバスである空間の比喩として“電光掲示板"(§2.2.1)を用いるとき,絵の写像は,一方の電光掲示板 X の絵P(発光している電球の集合)をもう一方の電光掲示板Yに写すことです。
このときの“写す”には,“模写”の意味はない。単に,Xの発光している各電球に対してYの或る電球を発光させることが,“写す”です。
ここでの“写す”には,“似せる”という意味合いはない。
例えば,“写す”が
X1,X2,X3,X4,X5,X6,X7
Y1,Y2,Y3,Y41,Y5,Y6
{X1,X3,X5,X6}
f={(X1,Y2),(X3,Y2),(X5,Y4),(X6,Y5)}; P─→Y
のこととなる。
“空間の写像”という言い回しがあるが,文字通りのそれは,空間をそれ自身の上の絵と読み直すときのこれの写像である:
絵の写像の他に“空間の写像”があるのではありません。“空間の写像”は絵の写像です。
──繰り返すが,写像とは絵の写像のことです。
空間Xの上の絵Pの写像を,空間Xの写像 (Xをそれ自身の上の絵と読み直すときのこれの写像) に埋め込んで考える場合がある。このとき,Pの写像は,Xの写像のPへの制限という形で捉えられるようになります。