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English
ユークリッド空間と等長変換
計量形式が与えられているアフィン空間としてのユークリッド空間に対し,これの“点表現の枠の変換”として自然に考えられるものは,計量を変えないアフィン変換としての“等長変換”です。
ユークリッド空間の計量──ユークリッド計量──
Q
は,正規直交基底{
u
1
,・・・・,
u
n
}に対し
Q
(
u
1
×
ξ
1
+ ・・・・ +
u
n
×
ξ
n
) =ξ
1
2
+ ・・・・ +ξ
n
2
で定義される (正確には,ユークリッド計量と正規直交基底は,相互依存する概念として同時に定義される)(§3.5)。そこで,等長変換の定義はつぎのようになります。
即ち,アフィン変換は,正規直交基底{
u
1
,・・・・,
u
n
}を任意に一つ固定して
(
O
;
u
1
,・・・・,
u
n
) ─→ (
O'
;
v
1
,・・・・,
v
n
)
と表わせるが,このとき
Q
(
v
1
×
ξ
1
+ ・・・・ +
v
n
×
ξ
n
) =ξ
1
2
+ ・・・・ +ξ
n
2
(ξ
1
,・・・,ξ
n
)
であれば,等長変換。
いま
u
i
=
v
1
×
α
i1
+ ・・・・ +
v
n
×
α
in
とすると,等長変換の条件から
Q
(
u
i
)=α
i1
2
+ ・・・・ +α
in
2
,
B
(
u
i
,
u
j
)=
Q
(
u
i
+
u
j
)−
Q
(
u
i
)−
Q
(
u
j
) =2 (α
i1
α
j1
+ ・・・・ +α
in
α
jn
)
(ここで
B
は,
Q
に随伴する双線型形式)。したがって,{
u
1
,・・・・,
u
n
}が正規直交基底であるための条件の
Q
(
u
i
)=1,
B
(
u
i
,
u
j
)=0 (i≠j)
は,
α
i1
2
+ ・・・・ +α
in
2
=1,
α
i1
α
j1
+ ・・・・ +α
in
α
jn
=0 (i≠j)
と言い換えらえる。そしてさらに行列
を
A
とおくとき,この条件は,
A
t
A
=1(単位行列),即ち
t
A
=
A
-1
──
A
は直交行列──と同じです。 特にこれから,{
v
1
,・・・・,
v
n
}も正規直交基底であることがわかる
(註)
。
こうして,等長変換は,正規直交基底を保存する変換として特徴づけられることになります。また,直交行列は,等長変換の表現行列として特徴づけられます。
(註)
実際,
Q
(
v
i
) =
Q
(
v
1
×
0+・・・+
v
i
×
1+・・・+
v
n
×
0)=0
2
+・・・+1
2
+・・・+0
2
=1。また,
A
-1
=
t
A
より,
v
i
=
u
1
×
α
1i
+ ・・・・ +
u
n
×
α
ni
,
そして
t
A
A
=1より,
B
(
v
i
,
v
j
)=α
1i
α
1j
+ ・・・・ +α
ni
α
nj
=0 (i≠j)