Up 「10年目研修」のとらえ 作成: 2008-08-18
更新: 2008-08-20


    「10年目研修」とは,「教員になって10年目の者は,(大学で) 5日間の研修を受ける」という制度。
    これのコンセプトは何か? (この問いに対する答えの形は「この研修で,研修生教員は ‥‥ のように変容する」だが,さて,どんな「変容」?)

    大学は,この研修に対応するのに,全教員を研修担当者にあてる。
    実際,大学教員の本務のスケジュールと研修規模を付き合わせれば,このようにするしかない。

    研修生教員は,「実際的・実用的な内容」を希望してくる。
    これに対し,大学は,
      教科専門性の弱さが「実際的・実用的な内容」を言わせている
    という点を重視する。
    そこで,研修を教科別の構成にしている場合なら,「10年目研修」を
      教科専門性の意味を5日間かけて教える研修
    と位置づける。そして,授業設計や模擬授業を課題にして,
      <教科専門性>とは,どのように授業を設計し,授業を行う能力のことか?
    をわからせる研修プログラムを組む。
    しかしこれは,一般教員・若手教員にとって簡単なことではない──端的に言って,できることではない。
    制度の導入がいつもそうであるように,「10年目研修」もこれの実質・実効性を考えることなく導入された。
    研修をこんなふうに制度化するのは,「研修の形骸化」という結果にしかならない。