Up 学校数学鳥瞰のための4テクスト 作成: 2011-03-06
更新: 2011-03-14



     

この4テクストは,学校数学鳥瞰の論考である。

「鳥瞰」とは,対象を「世界」の視野で見ることを謂う。 他のいろいろなものとの関わりで対象を見るということである。
この視点の効果は,対象の相対化である。 対象の相対化とは,《対象の内から対象を見ると,対象の絶対化になる》を意識するスタンスである。

<対象の相対化>は,<対象の絶対化>の側からは,自分たちを批判・否定するもののように見えてくる。
実際,『数学の授業法』は,時流の「真逆」を説いているふうなところがある。
『「数学的リテラシー」とはどういう問題か?』も,学校数学の出口の考え方として主流になっているものを「批判」する格好になっている。
『「数の理解」15講』『「かけ算の順序」のイデオロギー』は,二つ合わせて,学校数学の「数と量」が数学とはまったく別物であると断ずるものになっている。

そこで本テクストが「無垢な教員養成課程の学生や若い教員を惑わす危険なテクスト」の如く見られないよう,念のため,本テクストの「批判」が「鳥瞰」の含蓄に過ぎないことを強調しておく。

すなわち,通常謂う「批判」は,<対象の絶対化>の陣中で首位を競う方法としての批判である。 「鳥瞰」の含蓄の「批判」は,これではない。
「鳥瞰」の含蓄の「批判」は,対象の観察と同定である。同定であって否定ではない。

しかしこのことに拘わらず,「学校数学」の理解には,学校数学の外に出て,世界の中の学校数学を鳥瞰する視点が必要になる。そしてこの視点は,教員養成課程の学生であれ若い教員であれ,いずれにせよ持たねばならないものである。