Up 授業構成の例 作成: 2012-09-29
更新: 2012-11-19


    「授業の基本形」は,つぎのようになる:

    1. 「導入」
      1. 学習主題を「標題」の形を以て明示する。(「学習主題」)
      2. 主題がどのようなストーリーの中に位置づくものかを示す。 (「主題の意味」)
      3. 本時の学習の目的とゴールを明示する。(「本時の学習の目的とゴール」)
      4. 既習内容として用いるものの明示と押さえ。(「既習の押さえ」)

    2. 「展開」
      1. 「主題へのアプローチとなる作業課題」の導入を明示的に告げ,そしてこれを提示する。(「導入問題」)
      2. 課題に取り組ませる。
      3. 作業状況の回収として,主題の数学的定式化 (定義ないし定理) に導く。(「主題の数学的定式化」)
      4. 数学になった主題を身につけるための作業を課す。(「練習」)
      5. 学習評価 (「小テスト」)
      6. 本時の学習ゴールに到達したことの確認 (「ゴール到達」)

    3. 「まとめ」
      1. 授業の振り返り・まとめ (「まとめ」)
      2. つぎのステップ (「次時の授業内容」)

    以下,これに添って「相似」の第1時の授業を構成する:

    T: 今日から「相似」を学習する。
    「相似」は,「同じ形」の見方・考え方の一つ。
    T: 「同じ形」の見方・考え方として,既に「合同」を勉強している。
    「合同」とは,このような「同じ形」の見方だった:
    (2つの合同な図の一方を,回す,裏返す)
    T: 「同じ形」の見方は,実はいろいろある。
    (2つの合同な図の一方を,前後に移動,斜めに傾ける,裏返す)
    歪んでいても「同じ形」と見るときがある。
    (一方の図を歪める)
    「相似」は,このような「同じ形」の見方:
    (2つの合同な図の一方を,前後に移動,回す,裏返す)
    S: 合同との違いは,大きさが違ってもよいところ。
    T: 今日の課題は,「相似」の「同じ形」に,きまりを見つけること。

    T: ここに,「相似」の「同じ形」になる2つの図を用意した。
    これを使って,きまりが見つかるかどうか,やってごらん。
    (註:図を生徒自身に作成させるやり方もあり。)
    S: (作業)
    S: 対応する線分の長さが一定倍。
    対応する角の大きさが同じ。

    T: これが「相似」の「同じ形」のきまりになるかどうか,確かめるとしよう。
    この図に対し,きまりを用いて別の図を作図する。
    そのとき,2つの図が「相似」の「同じ形」になっているかどうかを見る。
    S: (作業)
    T: (作業中断)
    2点A,Bに対応する点A′,B′ を決めたとき,点Cに対応する点C′ はどうやったらとれるか?
    (コンパスによる作図法を導く)
    (作業再開)
    S: (作業)
    S: 「相似」の「同じ形」の図が,できた。
    T: 「対応する角の大きさが同じ」は,必要だったか?
    S: 使わなくてもできる。
    T: 「対応する角の大きさが同じ」は,「対応する線分の長さが一定倍」に含まれている。
    「相似」の「同じ形」のきまりは,「対応する線分の長さが一定倍」。

    T: 「相似」のきまりを身につけるために,練習しよう。
    (練習問題を提示)
    S: (作業)
    T: みんなできるようになったか?
    S: できるようになった。

    T: では,いまからまとめをする。
    (まとめ)
    T: 次時は,相似な図形の作図法 (今日やった作図よりも効率のよい作図法) を勉強する。