Up 話を難しくしない  


    「行列」のもとになる考え方は,簡単なものです(それは小学算数にあります)。
    ところが,いまの学校数学では,学習者はこのことを知らされずに,「行列」を意味不明の体で学習(?)しています。

    勉強の要諦は,<卑近・ルーツ・簡単>を知ること。
    そこで,ここでは,話を無用に難しくするようなことがらは,扱いません。
    例えば:

    1. 「係数体 (スカラ)」の概念
      いまは,「ベクトルの倍作用素=実数」で話を進めていますが,線型空間の一般論では「倍作用素」も一般化されます。 すなわち,「倍作用素全体としての実数全体」は「係数体」の概念に一般化され,そして「実数」は「スカラー」の概念に一般化されます。
      ここでは,これについては触れません。

    2. 一般次元化
      ここでは,取り扱う次元を2とし,一般次元までは考えません。
      「取り扱う次元を2とする」理由は,つぎの2つです:

      1. 高校数学の「行列」の扱いに合わせる。

      2. 大学で「行列」の授業を受けた学生のほとんどが,「行列」の意味を最後まで理解しないまま (「行列」に意味があることを意識しないまま) 学習を終えている。
        これの原因は,「行列」の授業が一般次元の抽象論になっているということです。 授業者の思いはこうではないのですが,数学の授業者はもともと数学ができてしまう人なので,数学がわからない (意味のところで挫折する) 学習者のことがよくわかりません。それで,概して,自分の勝手な思い込みの授業になってしまいます。