Up 「1あたり量 × いくつ分」 作成: 2012-02-04
更新: 2012-02-04


    学校数学の「数」は,<数は量の抽象>である。
    例えば,分数「2/3」は,つぎの絵に表現されるものになる:


    実際には,つぎの二つの「2/3」を並べてみればわかるように,「2/3」は量を表しているのではなく,量の比を表している:


    すなわち,こういうことである:


    <数は量の抽象>の無理な立場は,「かけ算」の意味づけでいっきょに苦しいものになる。
    数が量の抽象だとすると,数の積は量の積の抽象でなければならない。
    たとえば,「2/3 × 4/5」をどう考えたらよいか?
    つぎのようだと,意味が立たない:


    <数は量の抽象>はここで,つぎの理屈を出してくる:
    かけ算は,1あたり量 × いくつ分 である。
    1あたり量,いくつ分 は,異なるタイプの量 (内包量と外延量) であるが,いずれにしても量である。
    というわけで,数はやはり量の抽象であり,そして数の積は量の積の抽象である。

    数学は,<数は量の比>である。
    <数は量の抽象>と<数は量の比>を対比すると,つぎのようになる:


    しかし,学校数学が数学と見なしているのは,<数は量の抽象>の図式の方である。