Up はじめに 作成: 2008-05-17
更新: 2008-05-17


    数学教育は,この数十年間,つぎのようにはなっていない:
    • 学習内容が漸進的に向上。
    • 生徒の数学の力が漸進的に向上。

    現に,いまの大学生は,学力が低い。
    学力が低くなるような教育課程が,小・中・高で行われてきたからである。
    これには,数学教育も含まれる。

    彼らの多くが高校数学として学習した内容は,半世紀前の1960年告示学習指導要領が定める内容と比べて,(控えめに言っても) 程度が劣りこそすれ勝るものではない。( 高等学校学習指導要領・数学)


    つまり,数学教育は進歩していない。
    絶えず動いているようには見えても,せいぜい,嘗て通った道の行ったり来たりをしている。

    そこで,つぎのように思えてくる:

      数学教育 (あるいは教育一般) の含意に「進歩しない」があるのではないかと疑い,「進歩しない」構造・力学を考察することは,数学教育研究の一つの形になるかも知れない。

    そこで本論考において,このアプローチを試みることにする。