Up | 表象主義/合理主義 | 作成: 2013-08-11 更新: 2013-08-23 |
西欧思想・哲学の伝統 (主流) は,現象に対し《見えるものは,見えないものの現れ》というふうに<見えないもの>を立てることが,これの本質 (クセ) である。 <見えるもの>と<見えないもの>を立てるこの説は,形から「対応説」である。 「対応説」での<見えないもの>を「イデア」と呼べば,この「対応説」は「イデア論」と呼ばれるものになる。 実際,「対応説」は「イデア論」と同じである──本質的に「イデア論」である。 「作用主が作用」は,つぎのロジックを用いることにおいて,「対応説」である:
認知科学で謂う「表象主義」は,これをつぎのように読むことで,「対応説」である:
以下は,わたしが「数学教育学と合理主義的オリエンテーション」(1993) の中で書いた,表象主義/合理主義の説明である: "合理主義" とは,分析/還元主義,構成主義,論理主義,内包/外延主義,表象主義,計算主義,物象化主義,一般化主義,規範科学(normative science)主義,自律理論(coherence theory)主義,体系主義である。"要素","構造","システム","論理","推論","計算","因果的説明","機構的説明","構成的説明"は,合理主義のキーワードである。 合理主義は,世界に対する説明形式を世界の存在形式と同一視する傾向にある。即ち,説明が合理的であることを理由に,世界はこのようであると主張し,説明が不合理であることを理由に,世界はそのようではないと主張する。(この意味で,合理主義は,合理的説明形式を歴史的なものとは考えない──歴史的に普遍的なものと見なしている。)それは暗黙につぎのような立場に即いていることになる:
合理主義的オリエンテーションは,"生活者" に対する実体的説明を可能にするための記述レベルを,"生活者" と"生体" の二つの記述レベルの間に設定する。即ち,"生体の機能モジュール" という記述レベルである。 機能モジュールは〈コト〉として導入されるが,記述の便利のために〈モノ〉化される。 "機能モジュール" の記述レベルの今日的展開が,"情報処理システム" という記述レベルである。合理主義的オリエンテーションの下では,生活者の知的な側面に対する実体的説明が,情報処理システムを概念装置として与えられるようになる。 "情報処理システム" の記述レベルの著しい特徴は,"内的表象" という実体の仮構──表象主義──である。人間知能に対するコンピュータ・アナロジーの要点は,この"内的表象" の概念である。
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